2016年04月22日

国が耐震基準の改定を検討。

今回の熊本地震では、観測史上初めて震度7を2回記録しました。また、震度3~5規模の地震が続発したことにより建物の倒壊が相次ぎ、避難者を増加させて避難所が不足し、車中避難を余儀なくされているという状況です。

現行の耐震基準は1981年の改正建築基準法(新耐震)が基本です。これは数十年に一度程度発生する震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じず、数百年に一度程度発生する震度6強~7程度の地震に対しては倒壊・崩壊しない程度 の耐震性能を備えることが求められているものです。2000年には直下型の阪神淡路大震災による木造家屋の倒壊を受けて、木造住宅の基礎構造・構造躯体や接合部の基準が見直されました。

2011年の東日本大震災においても震度7の地震に現行耐震基準の住宅が耐えて、その安全性が裏付けされました。しかし、阪神淡路や東日本地震とも震度7を記録する地震は本震の一度だけで、今回のような地震規模では現行の耐震基準の建物では安全性が担保されないことが判明しました。震度7の地震に一度は耐えてもそれは倒壊しないだけで部分損傷は起こっており、その後の大きな地震によって倒壊もしくは半壊するというのが現実として起こってしまったのです。確かに現行の基準を読めば、震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じず、震度6強~7程度の地震に対しては倒壊・崩壊しない とされています。残念なことに震度5は数十年に一度、震度6強~7は数百年に一度とされた見込みがそうではなかった・・・ということですね。

当地では経験がないので判りませんが、震度7に耐えた建物がどういう状態であるのか、部分損傷がどの程度なのか、それらを調査・検証しないと今後どのような耐震施工を行ったら良いかの判断がつきません。新しく住まいを建てる人にとっては急を要する課題ですが、新しい耐震基準の策定にはもう少し時間が掛るでしょう。

地震に対する対策は1.耐震 2.免震が基本となります。最近は「制震」という発想によって各種商品が販売されていますが、明確な法的基準が確立されていません。もちろん効果はゼロではないと思いますが、統一された性能評価の基準が無い以上、現下ではその採用は難しいでしょう。コストを考えれば耐震性能を更に上げる躯体構造にするのが一番かもしれません。これは構造計算によって容易に行うことができる作業です。たとえば現行の耐震基準の2倍(既に静岡県では国の耐震基準の1.2倍が標準)で計算をすればイイ訳です。また、免震の場合は水平方向の地震力を逃れるものなので直下型地震の鉛直方向の地震力には効果がありませんので、それらをよく理解したうえでの採用をお勧めします。


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Posted by 日本ホームプロダクト(株) at 10:38│Comments(0)時事あれこれ
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