2015年12月04日
土砂災害(特別)警戒区域の指定(その2)

さて、それでは土砂災害(特別)警戒区域に指定された場合にはどのようなデメリットが発生するのでしょうか。
まず、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)ともに公表されます。具体的には静岡県HPや市町村HPに各区域の範囲が誰にでも判るように掲載されると思ってよいでしょう。同時に土砂災害(特別)警戒区域や避難所等が記載されたハザードマップが関係者に配布されて警戒区域内外を問わず公になると思って下さい。
しかし、一番大きなデメリットは土砂災害(特別)警戒区域内での土地建物売買および賃貸契約等があるときは、契約の前にその相手方に対し必ず重要事項説明書にて警戒区域の指定が為されていることを記載・説明して理解していただかなくてはならないということです。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は崩壊した土砂等によって被害を受けるおそれのある地域、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は崩壊した土砂等によって住宅等の建築物が倒壊し、住んでいる人の生命や身体に大きな危害が生じるおそれのある地域と明記されています。この地区に住むというこは、すなわち災害の危険にさらされるということです。指定によってどういうことが起こるか・・・結論からいえば、土砂災害(特別)警戒区域内の土地建物はその資産価値の一部または全部を失うということです。ですから、国・地方行政は今まで土砂災害(特別)警戒区域の指定におよび腰でした。指定手順も事前に住民説明会での了解を求めた為に土砂災害(特別)警戒区域の指定が遅れました。しかし、昨年8月の広島土砂災害で多数の死者が出てしまったことで人命を最優先させる方向に転換して、急遽、土砂災害防止法を改正したというのがことの顛末です。
なお、土砂災害(特別)警戒区域の指定は静岡県で18,581ヶ所、浜松市でも3,066ヶ所を予定しているとのことです。次回は警戒区域の指定にひそむ諸問題について考えてみたいと思います。 (つづく)