建築条件付き土地分譲で行政処分(その6)

日本ホームプロダクト(株)

2016年04月28日 14:10

ちょっと空きましたが・・・つづきです。

今回のようなトラブルに発展する原因のひとつに不動産広告があります。
不動産広告は「宅地建物取引業法」(国土交通省等)と「不当景品類及び不当表示防止法」(消費者庁)によって、誇大広告などの不当表示が禁止されていますが、これらがしっかり遵守されているかというと・・・これは同業者なのでコメントは難しいですねぇ。(汗)

不動産の表示に関する公正競争規約では様々な広告のルールを定めています。これは広告の表示基準(表示項目や文字の大きさまで)や広告の開始時期(広告チラシ、新聞広告、ネット掲載等)、使ってはいけない文言(例えば、抜群や最高、格安など)等々です。
細かいトコロでは広告の「徒歩5分」の記載は距離80mを徒歩1分とするという決まりがあったり、土地面積では水平投影面積が基準とされ、これは斜面地では面積く広く表示できることを禁止する為であったりします。
また、建物の表示では建物面積は延床面積での表示が基本です。延床面積とは建築基準法で定められた各階の床面積(法床)の合計で、2階建ての場合は1階、2階の合計面積となります。床面積は正確に言うと、建物の壁などの中心線で囲まれた部分の面積をいいます。つまり壁の厚さの半分は面積に含まれることになりますので、壁の内側(内法:うちのり)としての有効面積は少し小さくなります。また、吹き抜けやバルコニー、玄関ポーチの一部などの面積は床面積には含まれません。広告で見かける「総合施工面積」などの表示は本来の床面積(延床面積)ではなく、工事を行う面積(バルコニーや吹き抜けなどを含めた)の表示なので、これは広告として建物を広くみせようとする行為なのでNGです。

さて、では建築条件付き土地販売の広告規制についてみてみましょう。
売主が所有する土地を販売するにあたり、その土地に指定する建設業者(売主同一の場合が多い)との間に、一定期間内に建物を建築することを停止条件とするものを「建築条件付土地」といいます。ですから土地のみの販売はされません。多くは建物のプラン例(間取図)を大きく掲載するなどして新築分譲住宅の広告のように見えるようにしていますが、これはNGです。

建築条件付土地販売を広告表示する場合・・・
1.取引の対象が建築条件付土地であること(停止条件または解除条件)
2.建築請負契約を締結すべき期限
3.建築条件が成立しない時は土地売買契約は解除され、土地の買主から受け取った金銭はすべて遅滞なく返還すること
4.建物の設計プランを示すときは、あくまで参考のための一例で、プランは土地購入者の自由であること
5.建物価格を合計したセット価格は禁止(参考プラン価格は土地価格と別に表示)
を表示しなければなりません。多くの広告では下記のように表示されているはずです。
「この土地は土地売買契約締結後3ヶ月以内に当社との建物請負契約を締結することを条件に販売します。この期間内に請負契約が締結されなかったとき、もしくは住宅を建築しないことが確定したときは土地売買契約は解除となり、受領した金銭は無利息にて速やかに返還いたします。」
ですから、土地契約締結の時点では売主・買主とも契約の履行を確約したものではない不完全な状態であるといえます。契約を成就させるには建物請負契約が必須ですから、土地売買契約と建物請負契約を同時に締結してしまおうと考えるのは、ある意味必然であったのかもしれません。土地売買契約締結の前に行わなければならない重要事項説明が同日を避けるのは、購入者が説明を受けて理解をする時間を十分与えてからという意義があるように、土地契約の後に建築プランの協議を充分時間を掛けて行い、土地購入者が納得のうえで建物請負契約を締結するという原則通りの手続きを踏めば今回のようなトラブルは起こらなかったことでしょう。 
 (おわり)

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