広島市土砂災害によって亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。
このような災害は決して対岸の火事ではありません。異常な降雨は何処で起きてもおかしくない自然現象です。この機会にしっかりと土砂災害について学び、再確認しておかなければなりません。
土砂災害の種類は下記のように定義されています。
・急傾斜地の崩壊・・・傾斜度が30°以上である土地が崩壊する自然現象
・土石流・・・山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が一体となって流化する現象
・地滑り・・・土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象
これらをふまえて都道府県が指定するものが土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)と土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)です。
「土砂災害警戒区域」とは
◆急傾斜地の崩壊
イ 傾斜角度が30度以上で高さが5m以上の区域
ロ 急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
ハ 急傾斜地の下端から急傾斜地高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域
◆土石流の発生の恐れがある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域
◆地滑り
イ 地滑り地区(地滑りしている区域または地滑りするおそれがある区域)
ロ 地滑り地区下端から、地滑り地塊の長さに相当する距離(250m超える場合は250m)の範囲の地区
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生じる恐れがあると認められる区域であり、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。
「土砂災害特別警戒区域」とは
急傾斜地の崩落に伴う土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命または身体に著しい危害が生じる恐れがある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域
※ただし、地滑りについては、地滑り地塊の滑りに伴って生じた土石等による力が建築物に作用した時から30分間が経過したときにおいて建築物に作用する力の大きさとし、地滑り区域の下端から最大で60m範囲内の区域
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生じる恐れがあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可、建築物の構造規制等が行われます。
以上が土砂災害防止法の定めによるものですが、これとは別に土砂災害危険箇所の指定が行われています。
「土砂災害危険箇所」とは
国土交通省の調査要領・点検要領により都道府県が実施した調査で判明した、土石流、地すべり、急傾斜地の崩壊が発生するおそれのある箇所をいいます。土砂災害警戒区域等とは異なるもので、地区や土地所有者への説明等は行われず、行政の独自判断で指定を行っています。土砂災害警戒区域の指定には、土地所有者の理解や手続きに時間がかかる為に、速効性のある土砂災害危険箇所の指定制度が望ましいことは言うまでもありません。