境界立会証明書と筆界確認書

日本ホームプロダクト(株)

2015年08月26日 15:51



土地の測量を行うと、その土地に隣接した土地の所有者に立ち会って頂いて境界を確認(確定)します。境界杭がある場合は、その境界杭を正しいと仮定して対象地を含めた近接地の測量を行って、その杭の位置で良いかという確認の作業になります。無い場合は測量する範囲が広くなり、それぞれの土地の広さが登記簿や公図(こうず:法務局に保管されている土地図)との誤差が無いか精査して、新たに境界杭を入れて境界を確定します。
その作業が終わるとその土地の測量図を作成して隣接地の土地所有者に署名・捺印をいただくという手順なのですが、ここで作成する書類には実はいくつかの種類があります。

土地の測量申請者はその土地の所有者であることがほとんどですが、その業務は土地家屋調査士が代行します。隣接地の土地所有者が現地にて境界を確認していただいたので〝立会いをした〟という事実を証明する〝立会証明書〟という書式を用いる場合が多々あります。もちろん、この書類にも隣接土地所有者の記名・押印をしていただくので境界確認をされた測量図は完成します。
しかし問題は、この立会証明書は立会いをした人物が土地所有者本人ではない場合、「所有者代理人」でも成立するということです。ですから立会証明書には土地所有者本人の署名・捺印(実印)が求められていません。また、立会証明書は作成した特定の者(土地家屋調査士)だけがその証明効力を有するというものです。逆に言えば、別の土地家屋調査士ではその境界を証明する効力を有しないということでもあります。これが効いてくるのが、その土地を分割することきです。土地の分割は分筆登記(ぶんぴつとうき)といいますが、これには筆界(境界)確認書が必要となります。残念ながら〝立会証明書〟では立会証明書を作成した土地家屋調査士でしか分筆登記申請が出来ないのです。この意味はもうお判りですよね・・・ですから土地測量の際には必ず〝筆界確認書で作成してください〟と注文をつけましょう。

追記です。(2016.5.23)
先日、ある土地の確定測量図を確認してほしいとの依頼があり実物を拝見いたしましたところ、なんと筆界確認書が白黒コピーで測量図との割り印(その土地家屋調査士の印)で綴じてありました。まったくもってヒドイものです。地主は80万円近く代金を支払ったのにもかかわらず成果品としての体を成しておりません。どうしてこんなことをするのか・・・この測量図は平成21年のものでした。筆界確認書の原本をいだたきたいと要求をしましたが、地主に渡しただとかと言ってもらえませんでした。結局もう一度測量を行うことになり、地主は二重の出費になることになりました。
また、測量図の作製は世界測地系座標(DID)での測量を行ってもらって下さい。更に、ここで注意することは境界ポイントの復元が出来るように測量基準点(トラバース・ポイント:TP)を測量図に必ず記入してもらうようにしましょう。TPは最低でも2点、広い土地や見通しがきかない土地では5~6点は普通にあります。

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